凍てつく氷の国のような寒い深夜、打ち合わせを終え家路へ帰る途中の出来事だった・・・
時計をみるともう夜の12時30分電車もないし、タクシーでもひろわなければと大通りへの抜け道と思って路地に迷い込んだ。
シンとした静寂の中、一軒のショットバーがそこにはあった・・・
その時、何か運命めいたものを感じたのか、寒さから一時逃れるためだったのかともかくそのバーの重い鉄製のドアを開けてみた。
するとジャジーな音楽と非日常を思わせるキャンドルが店内を照らしている。
薄明かりのなかで一人の若い男が声をかけてきた・・・
どうやらマスターのようだ。
彼は私の今日の疲れをねぎらうかのようにお疲れ様を言った。
私はドライシェリーを頼み、名も知らぬマスターと乾杯した。
彼はもう10年もこのバーをやっていて、ミュージシャンでもあるという。
彼はバーテンダーとしてパーフェクトだった・・・
私は見知らぬこの若い彼に自分のことを話していた。
気づけば人に悩みを相談しないことを信条としていた自分がゆらいでいた。
彼は話しかけたとき見事なまでの相槌で話を聞いてくれる。
気づけば、そのリズムに乗せられ昔の話から自分の夢まで語っていたのだ。
なぜかわからないが、その時以来、私はこの路地裏のショットバーのトリコになってしまった。
忙しい日常のなかでホンノ少しだけ時間の流れを遅くして、非日常に連れて行ってくれる。
そんな素敵なバーを物語調でご紹介してみました。
スタジオ610
http://studio610.net
P.S 株式会社竹内商店の紹介と言ってもらえば、一杯おごってくれるらしいですよ。
(物書きになろうかなって本気で思った竹内)
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