今日はとうとうオープン前日でレセプションパーティーの日である。今回オーナーさんがこのプロジェクトに参加した業者全部をご招待してくれたのである。
みんなこの日のためにやってきた・・・極度の疲労を乗り越え、達成した喜びを皆で分かちあいたかった。
黄昏時が過ぎようとするころ、続々と皆集まりだした。
オーナーさんの挨拶に始まり、僕が乾杯の音頭を取った。
精一杯の声で乾杯を言うと、みんなそれに続いた。
ほんの1月半前には何もなかった場所に命が吹き込まれた瞬間だった・・・・
建築というのは本当に魅力のある仕事だ!一人ではドラマティックな演出なんかできない。そこで各分野のプロが一つの映画を作るように集まり、作品を作る。その作品が人々に影響を与え、感動を与える!この完成した瞬間こそが背すじがゾクゾクするほど感激するのだ。
しばらくして料理が出てきた。この日の為に考えられた料理がセンスよく並べられていく。料理長の自信があふれていた・・・
食器とのバランスも絶妙で、料理の盛り付けのセンスの良さが食器の質をより一層高めている。
その後、2~3時間はたったであろうか。お酒の酔いが少し足にきだした頃、お開きとなった。
その時、ひとりひとりに丁寧にお礼を言っていたオーナーさんの優しさが嬉しかった。
これからもずっと物づくりを続けていこうと思った瞬間だった!
最後にオーナーさんとのお別れがやってきた。
竹内「お疲れ様でした。この1月半とても楽しい旅でした。私の役目はここまでです。これからいろいろとあるとは思いますが、心のあるいいお店にしていってください。また私達にできることでしたらいつでもお力になりたいと思います。」僕は心から成功してほしいと思った・・・・
オーナーさん「ありがとう。竹内さんのおかげでいいお店が出来ました。店はもちろん大丈夫です。予約の取れない行列の出来るお店にして見せますわ!」大きな笑みを見せてオーナーさんが言った。
これなら大丈夫だ!私はそう思った。固い握手を交わし、そしてタクシーに乗り込んだ。また明日から頑張れると思った瞬間だった。
空を見上げると車窓に大きな満月が恵花さんを祝福するかのように輝いていた・・・・・
おしまい
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